東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2020年5月16日]

【ヴィクトリアマイル】超人気薄馬が激走することを願って

もう十数年前のことだが、吉祥寺の居酒屋で、作家の安部譲二さんと酒を酌み交わしたことがある。横にいた美人の奥さん(何人目は知らないがたぶん最後の…)からそっと「あまり主人にお酒を飲ませないでください」とささやかれた。近くにあった空いた徳利にそっと水を入れて、譲二さんの盃に注いでみた。一杯、二杯と何事もなく進み、三杯目の盃に注ぐと「あれ、これって酒の味がしないなあ!」とやっと譲二さんはお気づきになった。

ところで、コロナ対策の一つに客同士が密接にならないように「お酌の控え」というのがあるらしい。私はもともと手酌派なので何ともないが、なにかもの足りない思いをする人もいるかもしれない。手酌ではないと、自分がどれくらい酒量がいっているのか分かりづらいのだ。

ヴィクトリアMに最強牝馬アーモンドアイが出走するとくれば、居酒屋「青夷」は盛り上がりに盛り上がるのだが、あいにく休業中。たぶん口撃機関銃ヤマの飛沫が舞いしきるにちがいない。なにかと⑫アーモンドアイの死角を探そうと予想屋さんは必死だが、注目は何馬身離して勝つかではないか。これくらい凄い馬がいると、イギリスのブックメーカーなら「2馬身以上離して勝てば2倍」というオッズすら出ることがある。

お店が開いていれば、たぶん口撃機関銃ヤマの飛沫が舞いしきるにちがいない。そのヤマはレコード勝ちの昨年の覇者⑯ノームコアを狙うらしい。相手はやはり⑫であり、もう1頭に昨年2着の⑤プリモシーンをからめるという。馬連・3連複で行くらしい。ギャンブル狂師ミノ先生はおとなしく⑫の頭は鉄板で、ヤマと協調路線で⑤と⑯に馬連・ワイドで流すとか。穴党の休業店主のマスターは人気薄の②ビーチサンバと③シャドウディーヴァで迷ったあげく②に絞ったという。マイルの実績、さらに東京コースの安定感の望みを託すらしい。

小さいと評判が悪いアベノマスクだが、もともとマスクを好まない人間には小さくてちょうどいいくらいだ。自宅とオフィスにそれぞれ2枚ずつ来て、馬券が当たったような気になっている。狙いは大崩れのない⑦ダノンファンタジーの休養明け2戦目の良化に賭けてみる。なんといっても名手川田の騎乗も心強い。勝つのは⑫アーモンドアイで決まっているから、3頭目に超人気薄馬が激走することを願っておきたい。

ベランダから夕陽が富士山に沈んでいくのを眺めながら、アーモンドアイの凄さに手酌の美酒で酔いたいものだ。

ヴィクトリアマイル

⑦-⑫ ワイド1点で勝負する

⑦-⑫の2頭軸で3連複総流し16点で遊ぶ

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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